大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学Ⅰ 第2問 [1] 解説

(1)


$\left\{\begin{array}{l} \mathrm{B}\mathrm{C}=5\\ \angle \mathrm{A}\mathrm{B}\mathrm{C}=60^{\circ}\\ \text{外接円の半径}R=\sqrt{7} \end{array}\right.$条件A
を満たす△$\mathrm{ABC}$三角形について考える。

△$\mathrm{ABC}$に正弦定理を使うと、
$\dfrac{\mathrm{A}\mathrm{C}}{\sin\angle \mathrm{A}\mathrm{B}\mathrm{C}}=2R$
より
$\dfrac{\mathrm{A}\mathrm{C}}{\dfrac{\sqrt{3}}{2}}=2\sqrt{7}$
とかける。

これを計算して、
$$ \begin{align} \mathrm{AC}&=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\cdot 2\sqrt{7}\\ &=\sqrt{21} \end{align} $$ である。

解答ア:2, イ:1


このとき、△$\mathrm{ABC}$に余弦定理を使うと、
$\mathrm{AC}^{2}=\mathrm{AB}^{2}+\mathrm{BC}^{2}-2\mathrm{AB}\cdot \mathrm{BC}\cos\angle \mathrm{ABC}$
より
$\sqrt{21}^{2}=\mathrm{AB}^{2}+5^{2}-2\mathrm{AB}\cdot 5\cdot\dfrac{1}{2}$
と表せる。

これを計算して、

途中式 $\mathrm{AB}^{2}-5\mathrm{AB}+25-21=0$
$\mathrm{AB}^{2}-5\mathrm{AB}+4=0$
$(\mathrm{AB}-1)(\mathrm{AB}-4)=0$
$\mathrm{AB}=1$,$4$
である。

解答ウ:1, エ:4


したがって、条件Aを満たす△$\mathrm{ABC}$は、
$\mathrm{AB}=4$,$\mathrm{BC}=5$,$\mathrm{AC}=\sqrt{21}$
(図Aの青い三角形)
$\mathrm{AB}=1$,$\mathrm{BC}=5$,$\mathrm{AC}=\sqrt{21}$
(図Aの赤い三角形)
の2通り存在する。

図A
大学入学共通テスト2024年本試 数学Ⅰ 第2問 [1] 解説図A

(2)

(1)で考えた条件Aを
$\left\{\begin{array}{l} \mathrm{B}\mathrm{C}=5\\ \angle \mathrm{A}\mathrm{B}\mathrm{C}=60^{\circ}\\ \text{外接円の半径}R \end{array}\right.$条件B
に変えて、もう一度同じような作業をすると、

正弦定理より
$\dfrac{\mathrm{A}\mathrm{C}}{\dfrac{\sqrt{3}}{2}}=2R$
なので、$\mathrm{AC}$は
$\mathrm{AC}=\sqrt{3}R$

これを余弦定理に代入すると
$(\sqrt{3}R)^{2}=\mathrm{AB}^{2}+5^{2}-2\mathrm{AB}\cdot 5\cdot\dfrac{1}{2}$
より、
$\mathrm{AB}^{2}-5\mathrm{AB}+25-3R^{2}=0$式A
となって、$\mathrm{AB}$についての2次方程式ができる。

式Aの解を使うと、条件Bを満たす△$\mathrm{ABC}$の三辺は
$\mathrm{AB}=$式Aの正の解,$\mathrm{BC}=5$,$\mathrm{AC}=\sqrt{3}R$ と表せる。

よって、
式Aの正の解がひとつ
$\hspace{60px} \Updownarrow$
△$\mathrm{ABC}$の三辺が一通りに決まる
だから、条件Bを満たす△$\mathrm{ABC}$が一通りに決まるための必要十分条件は
式Aの正の解がひとつ といえる。

ということで、式Aの正の解がひとつになる場合を考える。


式Aの正の解がひとつになるのは、
正の重解をもつパターンA 正と$0$以下の解をもつパターンB のどちらかのとき。

この2つのパターンになる場合を$R$で表すと、それが答えだ。


パターンA

式Aの判別式より、式Aが重解をもつのは
$(-5)^{2}-4\cdot 1\cdot(25-3R^{2})=0$
のとき。

これを計算して、式Aが重解をもつのは

途中式 $25-4\cdot 25+4\cdot 3R^{2}=0$
$4\cdot 3R^{2}=3\cdot 25$
$R^{2}=\dfrac{25}{4}$
$R=\pm\dfrac{5}{2}$
だけど、$R \gt 0$なので、
$R=\dfrac{5}{2}$
のとき。

このとき、式Aは

途中式 $\mathrm{AB}^{2}-5\mathrm{AB}+\left( 2\cdot \dfrac{5}{2} \right)^{2}-3\cdot \left( \dfrac{5}{2} \right)^{2}=0$
$\mathrm{AB}^{2}-5\mathrm{AB}+\left( \dfrac{5}{2} \right)^{2}=0$
$\left( \mathrm{AB}- \dfrac{5}{2} \right)^{2}=0$
となって重解は正になるから、パターンAの条件を満たす。

解答オ:5, カ:2


パターンB

式Aの左辺の$\mathrm{AB}$を$x$とおいて、
$y=x^{2}-5x+25-3R^{2}$
としたグラフは
下に凸の放物線 放物線の軸は$y$軸より右 $y$軸との交点の$y$座標は$25-3R^{2}$ なので、図Bのようになる。

図B
大学入学共通テスト2024年本試 数学Ⅰ 第2問 [1] 解説図B

いま求めているのは、式Aが正と$0$以下の解をもつ場合。
図Bでいうと、放物線と$x$軸の交点の$x$座標が正と$0$以下の場合だ。

これは、放物線と$x$軸が
$y$軸より左($y$軸を含む) $y$軸より右 の2か所で交わる場合なので、$x$軸が図Bの赤い線より上(赤い線と重なるときを含む)にある場合である。

このとき、赤い点の$y$座標は$0$以下になるので、
$25-3R^{2}\leqq 0$
と表せる。

これを解くと

途中式 $3R^{2}\geqq 25$
$R^{2}\geqq\dfrac{25}{3}$
より
$R\leqq-\dfrac{5}{\sqrt{3}}$,$\dfrac{5}{\sqrt{3}}\leqq R$
となるけど、$R \gt 0$なので、
$\dfrac{5}{\sqrt{3}}\leqq R$
だ。

この分母を有理化して、パターンBの条件を満たす$R$の範囲は
$\dfrac{5\sqrt{3}}{3}\leqq R$
である。

解答キ:5, ク:3, ケ:3