大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学Ⅱ 第3問 解説

(1)

図A
大学入学共通テスト2024年本試 数学Ⅱ 第3問 解説図A

$\cos x=0$式A
となる$x$は、図Aの赤またはオレンジの角。

$x$の定義域を$0\leqq x \lt 2x$(図Aの緑の範囲)とすると、この範囲に式Aを満たす$x$は2つ存在し、

小さい方は図Aの赤い角で、
$x=\dfrac{\pi}{2}$

解答ア:3

大きい方は図Aのオレンジの角で、
$ x=\dfrac{3}{2}\pi$

解答イ:9

である。

(2)

(i)

加法定理の式
$\cos(\alpha\pm\beta)=\cos\alpha\cos\beta\mp\sin\alpha\sin\beta$
より、

$$ \begin{align} \cos 3x&=\cos(2x+x)\\ &=\cos 2x\cos x-\sin 2x\sin x \end{align} $$

解答ウ:5

$$ \begin{align} \cos x&=\cos(2x-x)\\ &=\cos 2x\cos x+\sin 2x\sin x \end{align} $$

解答エ:4

と表せる。

これを①式の左辺に代入すると、
$$ \begin{align} &\cos 3x+\cos 2x+\cos x\\ &=(\cos 2x\cos x-\sin 2x\sin x)+\cos 2x\\ &\hspace{40px} +(\cos 2x\cos x+\sin 2x\sin x)\\ &=\cos 2x\cos x+\cos 2x+\cos 2x\cos x\\ &=(2\cos x+1)\cos 2x\class{tex_formula}{②} \end{align} $$ と変形できる。

解答オ:6

よって、①の方程式は
$(2\cos x+1)\cos 2x=0$
とかけるから、解は、
$2\cos x+1=0$ または $\cos 2x=0$
を満たす$x$だ。


$2\cos x+1=0$

$\cos x=-\dfrac{1}{2}$式B
となるから、これを満たす$x$は図Bの紫または青い角。

図B
大学入学共通テスト2024年本試 数学Ⅱ 第3問 解説図B

$x$の定義域を$0\leqq x \lt 2x$(図Bの緑の範囲)とすると、この範囲に式Bを満たす$x$は、
$ x=\dfrac{2}{3}\pi$,$\dfrac{4}{3}\pi$式C
の2つ存在する。

$\cos 2x=0$式D
を満たす$2x$は、図Cの赤またはオレンジの角。

図C
大学入学共通テスト2024年本試 数学Ⅱ 第3問 解説図C

$x$の定義域が
$ 0\leqq x \lt 2\pi$
のとき、$2x$の範囲は
$0\leqq 2x \lt 4x$
なので、図Cの緑の範囲になる。

この範囲で式Dを満たす$2x$は
$2x=\dfrac{\pi}{2}$,$\dfrac{3}{2}\pi$,$\dfrac{5}{2}\pi$,$\dfrac{7}{2}\pi$式E
の4つ存在する。

式Eの両辺を$2$で割って$x$の値にすると、式Dの解は
$x=\dfrac{\pi}{4}$,$\dfrac{3}{4}\pi$,$\dfrac{5}{4}\pi$,$\dfrac{7}{4}\pi$式E'
である。

以上より、①は式Cと式E'の合計6個の解をもつ。

解答カ:6

図D
大学入学共通テスト2024年本試 数学Ⅱ 第3問 解説図D

この6個の解を図にすると、図Dのようになる。

図Dより、

最も小さい解は
$x=\dfrac{\pi}{4}$

解答キ:4

2番目に小さい解は
$ x=\dfrac{2}{3}\pi$

解答ク:2, ケ:3

であることが分かる。

(ii)

問題文の指示通り、(i)と同様に考える。
さっきと同じような作業をくり返すのは大変なので、(i)の結果をできるだけ使おう。

(i)での作業を振り返ると、
①式の解は、式Bまたは式Dを満たす$x$ だった。

式でいうと、、
方程式
$\cos 3x+\cos 2x+\cos x=0$
つまり
$\cos(2x+x)+\cos 2x+\cos(2x-x)=0$
①’
の解は
$\cos x=-\dfrac{1}{2}$式B
または
$\cos 2x=0$式D
を満たす$x$
だった。

③式を
$\cos(nx+x)+\cos nx+\cos(nx-x)=0$③'
として①'式と見比べると、
$2x$が$nx$ に変わっている。

このことから、方程式③の解は
$\cos x=-\dfrac{1}{2}$式B
または
$\cos nx=0$式F
を満たす$x$
だと考えられる。

式Bを満たす$x$は、(i)で求めた式Cの通り
$ x=\dfrac{2}{3}\pi$,$\dfrac{4}{3}\pi$式C
の2つ存在する。

式Fを満たす$x$は、(i)の式Dのときと同様に考えると
$nx=\dfrac{\pi}{2}$,$\dfrac{3}{2}\pi$,$\dfrac{5}{2}\pi$,$\dfrac{7}{2}\pi,\cdots$
より
$x=\dfrac{\pi}{2n}$,$\dfrac{3}{2n}\pi$,$\dfrac{5}{2n}\pi$,$\dfrac{7}{2n}\pi,\cdots$式G
となる。

以上より、方程式③の解は、式Cと式Gの
$ x=\dfrac{2}{3}\pi$,$\dfrac{4}{3}\pi$,$\dfrac{\pi}{2n}$,$\dfrac{3}{2n}\pi$,$\dfrac{5}{2n}\pi$,$\dfrac{7}{2n}\pi,\cdots$
式H
である。


ここでは、式Hの解のうち 小さい方から2つを問われている。

いま、$3\leqq n$なので、
$\dfrac{1}{n} \leqq \dfrac{1}{3}$
だから
$\dfrac{\pi}{n} \leqq \dfrac{\pi}{3}$
だ。

なので、式Gの小さい方から2つの解は
$\dfrac{\pi}{2n}\leqq\dfrac{\pi}{2\cdot 3}$ $\dfrac{3}{2n}\pi\leqq\dfrac{\cancel{3}}{2\cdot \cancel{3}}\pi$ となって、ともに$\dfrac{\pi}{2}$以下だから、式Cの解よりも小さい。

したがって、式Hのうち、

最も小さい解は
$\dfrac{\pi}{2n}$

解答コ:9

2番目に小さい解は $\dfrac{3}{2n}\pi$

解答サ:a

であることが分かる。