大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説

(1)

突然、(標準偏差):(平均値)の比と言われてびっくりするけど、交通量の値が出ているから、
標準偏差 平均値 の計算をすればよいと想像がつく。

よって、速度の比は、
$\displaystyle \frac{9.60}{82.0}=0.117.....$
となる。

この小数第3位を四捨五入すると
$0.12$
だから、正しい選択肢は⑥だ。

解答テ:6


ここで相関係数の復習をすると、

復習

データ$X$の標準偏差を$s_{x}$,データ$Y$の標準偏差を$s_{y}$,$X$と$Y$の共分散を$s_{xy}$とすると、相関係数$r_{xy}$は
$r_{xy}=\displaystyle \frac{s_{xy}}{s_{x}\cdot s_{y}}$
である。

だった。

復習より、求める相関係数は
$\displaystyle \frac{-63600}{10200\cdot 9.60}=-0.649.....$
となる。

この小数第3位を四捨五入すると
$-0.65$
なので、正しい選択肢は①である。

解答ト:1


次は、散布図からヒストグラムを考える問題。
散布図の点を数えれば解ける。

の解答群のヒストグラムを見ると、5000台以上10000台未満の階級が、
⓪①は15より多く
②③は15より小さい
と半分ずつに分かれているから、答えの候補を半分に絞り込むために、まずここを確認しよう。

散布図を見ると、交通量が5000~10000の点は17ある。
なので、正解は⓪①のどちらか。

⓪①のヒストグラムでは、5000未満の階級が、
⓪では2
①では4
になっている。

散布図を見ると、交通量が5000より左に点は4つある。
よって、正解は

であることが分かる。

解答ナ:1


は、選択肢をひとつずつ確認しよう。

図A
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図A

交通量が27500以上は、図Aの緑の範囲。
速度が75未満は、赤い点線より下。
緑の範囲の点は、赤い点線より上にもある。
なので、⓪は誤り。

図B
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図B

交通量が10000未満は、図Bの緑の範囲(緑の点線を含まない)。
速度が70以上は、赤い線より上(線上を含む)。
緑の範囲の点は、すべて赤い線より上にある。
なので、①は正しい。

図C
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図C

速度が平均値以上は、図Cの緑の範囲。
交通量が平均値以上は、赤い線より右(線上を含む)。
緑の範囲の点は、赤い線より左にもある。
なので、②は誤り。

図D
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図D

速度が平均値未満は、図Dの緑の範囲(緑の点線を含まない)。
交通量が平均値未満は、赤い点線より左。
緑の範囲の点は、赤い点線より右にもある。
なので、③は誤り。

図E
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図E

交通量が27500以上は、図Eの緑の範囲。
ここにある点は7個より多い。
なので、④は誤り。

図F
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図F

速度が72.5未満は、図Fの緑の範囲(緑の点線を含まない)。
ここに点はちょうど11個ある。
なので、⑤は正しい。

以上より、正しい選択肢は
①⑤
である。

解答ニ:1, ヌ:5 (順不同)

(2)

問題文中の図2の散布図の横軸を$x$,縦軸を$y$とすると、傾き$1$の点線の式は
$y=x$
なので、
2015年の速度$=$2010年の速度
となるグラフだ。

A群は、2010年より2015年が早くなっているので、
2015年の速度$ \gt $2010年の速度
より
$y \gt x$
の領域の点のこと。
問題文中の図2にちょっと描き加えて図Gを作ったけれど、これでいうと青い範囲の点だ。

図G
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図G

青い範囲には点がたくさんあって数えるのが大変。
なので、B群(黄色い範囲)の点を数えて、全部の点の数の$67$から引こう。

B群の点は、$10$個。
なので、求めるA群の点の数は、
$67-10=57$
となる。

解答ネ:5, ノ:7

また、2015年の速度が2010年よりもちょうど$5$km/h遅い式は
2015年の速度$=$2010年の速度$-5$
なので、横軸を$x$,縦軸を$y$とすると、グラフは
$y=x-5$
とかける。
図Gでいうと、緑の直線にあたる。

問われているのは $5$km/h以上遅くなった地域数なので、緑の線よりも下(線上を含む)にある点の数だ。
なので、答えは
$3$
である。

解答ハ:3

さらに、2015年の速度が2010年よりもちょうど$10$%遅い式は
2015年の速度$=\displaystyle \frac{9}{10}\times$2010年の速度
なので、横軸を$x$,縦軸を$y$とすると、グラフは
$y=\displaystyle \frac{9}{10}x$
とかける。
図Gでいうと、赤い直線にあたる。

問われているのは $10$%以上遅くなった地域数なので、赤い線よりも下(線上を含む)にある点の数だ。
なので、答えは
$2$
である。

解答ヒ:2


ここで、範囲や四分位数について復習しておく。

復習

第1四分位数 データの下位半分の中央値。
データの大きさが奇数のときは、全体の中央値を除いて偶数にし、その下位半分の中央値をとる。
第2四分位数 中央値に等しい。
データの大きさが偶数のときには、中央2数の平均値。
第3四分位数 データの上位半分の中央値。
データの大きさが奇数のときは、全体の中央値を除いて偶数にし、その上位半分の中央値をとる。
四分位範囲 第3四分位数$-$第1四分位数。
範囲 最大値$-$最小値。

B群の地域数は$10$なので、復習より、
第3四分位数は、上から3番目の点の値
第1四分位数は、下から3番目の点の値
にあたる。

それぞれを散布図に書き込むと図Hができる。
図Hを見ながら、(I)(II)(III)をひとつずつ確認しよう。

図H
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図H
(I)

A群の範囲は、B群の範囲よりも見るからに小さい。
なので、正しい。

(II)

A群の第1四分位数は、問題文より$81.2$。
B群の第3四分位数は、図Hより$76$前後。
なので、誤り。

(III)

A群の四分位範囲は、問題文より
$89.7-81.2=8.5$
B群の四分位範囲は、図Hを見ると$15$より大きい。
なので、正しい。

以上より、正しい選択肢は
正誤正
の②である。

解答フ:2

(3)

今度は、速度から、1km走るのにかかる走行時間を考える。
速度のデータを走行時間のデータに変換するわけだ。

変換式は、問題文にもあるように
走行時間$=$$60$速度
だから、
速度が大きいほど走行時間は短く
速度が小さいほど走行時間は長い
はずだ。

なので、
67地点のデータを速度が大きい順に並べると、走行時間が小さい順になる ことになる。

以上より、速度を走行時間に変換すると、

速度走行時間
最大値最小値
第3四分位数第1四分位数
中央値
(第2四分位数)
中央値
(第2四分位数)
第1四分位数第3四分位数
最小値最大値

になると考えられる。

問題文中の図3を見ると速度の中央値は$84$前後だけど、上の考え方から、これを変換した
$\displaystyle \frac{60}{84}\doteqdot 0.71$
あたりが走行時間の中央値であることが分かる。

の解答群の箱ひげ図を見ると、中央値が$0.71$前後なのは

のひとつ。
なので、これが正解だ。

解答ヘ:0


同様に考えると、もとの散布図(問題文中の図4の散布図)を 求める散布図(交通量と走行時間の散布図)にすると、縦軸方向にひっくり返って、
速度が最小の点が、走行時間が最大の点 速度が小さい方から2番目の点が、
走行時間が大きい方から2番目の点
速度が小さい方から3番目の点が、
走行時間が大きい方から3番目の点
$\hspace{100px}\vdots$
になると考えられる。

図I
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[2] 解説図I

図Iはもとの散布図だけれど、これでいうと
1の点が、求める散布図では一番上の点
2の点が、上から2番目の点
3の点が、上から3番目の点
4の点が、上から4番目の点
に対応する。
横軸の交通量の値は変わらない。

こう考えると、の解答群のうち、⓪①は論外だ。

また、③は、上から3番目の点の交通量が$500$ちょっとで、図Iと違う。
さらに、図Iでは4番目の点までは縦軸座標が同じくらいの点がないけれど、③では上から3番目の点付近の縦軸座標が$1.0$あたりに点が5個ある。
なので、③も不適。

以上より、正しい選択肢は

である。

解答ホ:2