大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

(1)

問題文中の式
$77k=\textcolor{red}{5\times 15k}+\textcolor{royalblue}{2k}$式A
の赤い部分は$5$で割り切れる。
なので、青い部分の$2k$を$5$で割った余りが、$77k$を$5$で割った余りである。
この余りが$1$になる$k$を探す。

あとは、手を使おう。
$k$は $0\leqq k \lt 5$ を満たす整数なので、
$k=\{0,1,2,3,4\}$
だ。
この$5$つの値を$2k$に代入して$5$で割って、余りが$1$になるときを見つける。

$k=0$のとき、
$2k=0$より、$5$で割った余りは$1$にならない。

$k=1$のとき、
$2k=2$より、余りは$1$にならない。

$k=2$のとき、
$2k=4$より、余りは$1$にならない。

$k=3$のとき、
$2k=6$より、余りは$1$になる。

$k=4$のとき、
$2k=8$より、余りは$1$にならない。

以上より、$77k$を$5$で割った余りが$1$になるのは、
$k=3$
のときである。

解答ア:3

(2)

$55\ell$,$35m$を式Aの形にして、(1)と同様に考えよう。


まず、$ 55\ell$から。

$55$を$7$で割ると
$55\div 7=7\ldots 6$
より
$55=7\times 7+6$
となるから、
$55\ell=\textcolor{red}{7\times 7\ell}+6\ell$
とかける。

この式の赤い部分は$7$で割り切れるから、
$55\ell$を$7$で割った余りは、
$6\ell$を$7$で割った余りと等しい。

また、問題文にあるように、③式は
$55\ell=7(-11k-5m+55n)+1$
と変形できるから、$ 55\ell$は$7$の倍数$+1$なので
$55\ell$を$7$で割った余りは$1$である。

以上より、
$6\ell$を$7$で割った余りが$1$条件A となるような$\ell$を探せば、それがの答えだ。

$\ell$は $0\leqq\ell \lt 7$ を満たす整数なので、
$\ell=\{0,1,2,3,4,5,6\}$
のどれか。

このうち、条件Aに当てはまるものは
$\ell=6$
である。

解答イ:6

別解

については、負の余りを使うと $\ell=6$を見つけるのが楽だ。

$55$を$7$で割るときに、負の余りを使って
$55\div 7=8\ldots-1$
より
$55=7\times 8-1$
として、
$ 55\ell=7\times 8\ell-\ell$式B
と表す。

式Bの$-\ell$が$55$を$7$で割った余りだけど、これは負の余り。
負の余りを正の余りに変えるには、割った数である$7$をたして
$-\ell+7$
とすればよい。

この正の余りが$1$になってほしいので、
$-\ell+7=1$
より、求める$\ell$は
$\ell=6$
である。

解答イ:6

次に、$35m$だ。

$ 55\ell$と同様に考えると、$35m$は
$35m=\textcolor{red}{11\times 3m}+2m$
とかける。

この式の赤い部分は$11$で割り切れるから、
$35m$を$11$で割った余りは、
$2m$を$11$で割った余りと等しい。

また、問題文中の式
$35m=11(-7k-5\ell+35m)+1$
より、
$35m$を$11$で割った余りは$1$である。

以上より、の答えは
$2m$を$11$で割った余りが$1$条件B となるような$m$だ。

$m$は $0\leqq m \lt 11$ を満たす整数なので、
$m=\{0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}$
のどれか。

このうち、条件Bに当てはまるものは
$m=6$
である。

解答ウ:6


以上の
$k=3$ $\ell=6$ $m=6$ を問題文中の式③に代入すると、このときの$n$は、

$77\cdot 3+55\cdot 6+35\cdot 6=1+385n$
より
$231+330+210=1+385n$
$385n=770$
$n=2$
となる。

(3)

ここで、割り算の余りの性質を復習しておく。

復習

整数$A$,$B$を 正の整数$\alpha$で割った余りを、それぞれ$R_{A}$,$R_{B}$とする。

このとき、

$A\pm B$を$\alpha$で割った余りは、$R_{A}\pm R_{B}$を$\alpha$で割った余りと等しい。(複合同順) $AB$を$\alpha$で割った余りは、$R_{A}R_{B}$を$\alpha$で割った余りと等しい。性質A

また、$\beta$を正の整数として、
$A^{\beta}$を$\alpha$で割った余りは、$R_{A}^{\beta}$を$\alpha$で割った余りと等しい。性質B

これを頭に入れて、問題を解こう。


$\textcolor{red}{77\times 3\times x}+\textcolor{royalblue}{55\times 6\times y}+\textcolor{green}{35\times 6\times z}$式C
で表される整数を考える。

これを$5$,$7$,$11$で割ると余りがそれぞれ$2$,$4$,$5$になるような 整数$x$,$y$,$z$を求める。


まず、式Cを$5$で割る。

式Cの青い部分と緑の部分は$5$で割り切れる。
よって、
式Cを$5$で割った余りは、
赤い部分の$77\times 3\times x$を$5$で割った余りと等しい
ことになる。

また、で考えたように、$77\times 3$を$5$で割った余りは$1$になる。
なので、復習の性質Aより、
$77\times 3\times x$を$5$で割った余りは、
$1\times x$を$5$で割った余りと等しい。

以上より、
式Cを$5$で割った余りは、
$x$を$5$で割った余りと等しい
ことが分かる。
この余りが$2$になるときの$x$が、の答えだ。

$x$は $0\leqq x \lt 5$ を満たす整数なので、
$x=\{0,1,2,3,4\}$
のどれか。

このうち、$5$で割ると余りが$2$になるのは
$x=2$
である。

解答エ:2


同様に式Cを$7$で割るんだけど、の作業から
式Cを$7$で割った余りは、
$y$を$7$で割った余りと等しい
と考えられる。

詳しく

式Cの赤い部分と緑の部分は$7$で割り切れる。
よって、
式Cを$7$で割った余りは、
青い部分の$55\times 6\times y$を$7$で割った余りと等しい
ことになる。

また、で考えたように、$55\times 6$を$7$で割った余りは$1$になる。
なので、復習の性質Aより、
$55\times 6\times y$を$7$で割った余りは、
$1\times y$を$7$で割った余りと等しい。

以上より、
式Cを$7$で割った余りは、
$y$を$7$で割った余りと等しい
ことが分かる。

この余りが$4$になるときの$y$が、の答えだ。

$0\leqq y \lt 7$
なので、$7$で割ると余りが$4$になるのは
$y=4$
である。

解答オ:4


式Cを$11$で割った場合も同様に、
式Cを$11$で割った余りは、
$z$を$11$で割った余りと等しい
と考えられる。

詳しく

式Cの赤い部分と青い部分は$7$で割り切れる。
よって、
式Cを$11$で割った余りは、
緑の部分の$35\times 6\times z$を$11$で割った余りと等しい
ことになる。

また、で考えたように、$35\times 6$を$11$で割った余りは$1$になる。
なので、復習の性質Aより、
$35\times 6\times z$を$11$で割った余りは、
$1\times z$を$11$で割った余りと等しい。

以上より、
式Cを$11$で割った余りは、
$z$を$11$で割った余りと等しい
ことが分かる。

この余りが$5$になるときの$z$が、の答えだ。

$0\leqq z \lt 11$
なので、$11$で割ると余りが$5$になるのは
$z=5$
である。

解答カ:5


以上より、
整数 $77\times 3\times 2+55\times 6\times 4+35\times 6\times 5$
を、$5$,$7$,$11$で割った余りは、
それぞれ$2$,$4$,$5$
である。

この整数を$p$とする。

このとき、$5$,$7$,$11$で割った余りがそれぞれ$2$,$4$,$5$となる整数$M$は、
$p$ $5$,$7$,$11$の最小公倍数
$\hspace{50px} 5\times 7\times 11=385$
整数$r$
を使って、

$M=p+385r$ と表せる。

(4) キク

今度は$p$の整数乗なので、(3)の復習の性質Bの
$A^{\beta}$を$\alpha$で割った余りは、$R_{A}^{\beta}$を$\alpha$で割った余りと等しい。 を使う。


まず、$p^{a}$を$5$で割った余りが$1$になる場合から。
この部分は問題文に答えが載っているけど、せっかくなので解説しておく。

$p$を$5$で割った余りは$2$なので、復習の性質Bより、
$p^{a}$を$5$で割った余りは、
$2^{a}$を$5$で割った余りと等しい
ことが分かる。
この余りが$1$になる$a$を探す。

ここで、$a$は正の整数なので、
$a=1$のとき、$2^{a}=2$だから、
$5$で割った余りは$1$にならない。
$a=2$のとき、$2^{a}=4$だから、
余りは$1$にならない。
$a=3$のとき、$2^{a}=8$だから、
余りは$1$にならない。
$a=4$のとき、$2^{a}=16$より、
余りは$1$になる。

以上より、求める$a$は
$a=4$
である。


$p^{b}$を$7$で割る場合も、同様に考えて、
$4^{b}$を$7$で割ると$1$余る ものを探せばよい。

詳しく

$p$を$7$で割った余りは$4$なので、復習の性質Bより、
$p^{b}$を$7$で割った余りは、
$4^{b}$を$7$で割った余りと等しい
ことが分かる。
この余りが$1$になる$b$を探す。

ここで、$b$は正の整数なので、

途中計算 $b=1$のとき、$4^{b}=4$だから、
$7$で割った余りは$1$にならない。
$b=2$のとき、$4^{b}=16$だから、
余りは$1$にならない。
$b=3$のとき、$4^{b}=64$だから、
余りは$1$になる。
以上より、求める$b$は
$b=3$
である。

解答キ:3


同じことのくり返しで面倒になってきたけど、頑張ろう。
$p^{c}$を$11$で割る場合も、同様に考えて、
$5^{c}$を$11$で割ると$1$余る ものを探す。

詳しく

$p$を$11$で割った余りは$5$なので、復習の性質Bより、
$p^{c}$を$11$で割った余りは、
$5^{c}$を$11$で割った余りと等しい
ことが分かる。
この余りが$1$になる$c$を探す。

ここで、$c$は正の整数なので、

途中計算 $c=1$のとき、$5^{c}=5$だから、
$11$で割った余りは$1$にならない。
$c=2$のとき、$5^{c}=25$だから、
余りは$1$にならない。
$c=3$のとき、$5^{c}=125$だから、
余りは$1$にならない。
$c=4$のとき、$5^{c}=625$だから、
余りは$1$にならない。
$c=5$のとき、$5^{c}=3125$だから、
余りは$1$になる。
以上より、求める$c$は
$c=5$
である。

解答ク:5

(4) ケコサ

ちょっとややこしくなってきたので、これまでに分かったことをまとめておく。

$p$を $5$で割ると$2$余る $7$で割ると$4$余る $11$で割ると$5$余る

$p^{4}$を$5$で割ると$1$余る $p^{3}$を$7$で割ると$1$余る $p^{5}$を$11$で割ると$1$余る

以上を使って、問題文の指示に従い $p^{8}$を$5$,$7$,$11$で割った余りを求める。


$p^{4}$を$5$で割ると$1$余るから、復習の性質Bより、
$(p^{4})^{2}$を$5$で割った余りは、
$1^{2}$を$5$で割った余りと等しい。
よって、
$p^{8}$を$5$で割ると$1$余る。

$p$を$7$で割ると$4$余り、$p^{3}$を$7$で割ると$1$余るから、復習の性質Aより、
$p\cdot p^{3}$を$7$で割った余りは、
$4\cdot 1$を$7$で割った余りと等しい。
よって、
$p^{4}$を$7$で割ると$4$余る。

さらに、復習の性質Bより、
$(p^{4})^{2}$を$7$で割った余りは、
$4^{2}$を$7$で割った余りと等しい。
$4^{2}=16$を$7$で割った余りは$2$なので、
$p^{8}$を$7$で割ると$2$余る。

$p$を$11$で割ると$5$余るので、復習の性質Bより、
$p^{3}$を$11$で割った余りは、
$5^{3}$を$11$で割った余りと等しい。
$5^{3}=125$を$11$で割った余りは$4$なので、
$p^{3}$を$11$で割ると$4$余る。

さらに、$p^{5}$を$11$で割ると$1$余るので、復習の性質Aより、
$p^{3}\cdot p^{5}$を$11$で割った余りは、
$4\cdot 1$を$11$で割った余りと等しい。
よって、
$p^{8}$を$11$で割ると$4$余る。


以上より、
$p^{8}$を$5$,$7$,$11$で割った余りは それぞれ$1$,$2$,$4$ であることが分かった。

ここで、(3)を振り返ってみよう。

$p=77\times 3\times \textcolor{red}{2}+55\times 6\times \textcolor{royalblue}{4}+35\times 6\times \textcolor{green}{5}$
を$5$,$7$,$11$で割った余りは それぞれ$\textcolor{red}{2}$,$\textcolor{royalblue}{4}$,$\textcolor{green}{5}$
で、
$5$,$7$,$11$で割った余りが$2$,$4$,$5$になる整数$M$は
$M=p+385r$
と表せた。

ということは、
$77\times 3\times \textcolor{red}{1}+55\times 6\times \textcolor{royalblue}{2}+35\times 6\times \textcolor{green}{4}$
を$5$,$7$,$11$で割った余りは それぞれ$\textcolor{red}{1}$,$\textcolor{royalblue}{2}$,$\textcolor{green}{4}$
になって、$s$を整数とすると
$5$,$7$,$11$で割った余りが$1$,$2$,$4$の整数$p^{8}$は、
$p^{8}=\textcolor{red}{77\times 3\times 1+55\times 6\times 2+35\times 6\times 4}$
$\hspace{160px}+\textcolor{royalblue}{385s}$式D
と表せると考えられる。

この式の青い部分は$385$で割り切れる。
よって、$p^{8}$を$385$で割った余りは 赤い部分を$385$で割った余りと等しい。

あとは、計算だ。
式Dの赤い部分は
$77\times 3\times 1+55\times 6\times 2+35\times 6\times 4=1731$
なので、$385$で割ると
$1731\div 385=4\ldots 191$
となるから、求める余り$q$は
$q=191$
である。

解答ケ:1, コ:9, サ:1