大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学Ⅰ 第1問 [2] 解説

(1)

最初に、集合の関係を表にしておこう。

表A
$U$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$
$A$
$B$

$\overline{A}\cap\overline{B}$は、集合$A$にも集合$B$にも含まれない部分。
なので、表Bの赤い部分だ。

表B
$U$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$
$A$
$B$

解答サ:1, シ:4, ス:6

別解

ド・モルガンの法則より
$\overline{A}\cap\overline{B}=\overline{A\cup B}$
とかける。

$A\cup B$は表Cの緑の部分。

表C
$U$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$
$A$
$B$

なので、$\overline{A\cup B}$、つまり$\overline{A}\cap\overline{B}$は、表Cの赤い部分である。

解答サ:1, シ:4, ス:6


次に、集合$D$を考える。

まず、$\overline{A}\cap\overline{B}$と$D$の関係から。

で求めた集合$\overline{A}\cap\overline{B}$と、集合$C$を表にすると、表Dができる。

表D
$U$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$
$\overline{A}\cap\overline{B}$
$C$

いま
$\overline{A}\cap\overline{B} \subset\ D$
なので、$\overline{A}\cap\overline{B}$の要素はすべて$D$に含まれる。

表Dを見ると、$\overline{A}\cap\overline{B}$の要素のうち$6$が$C$に含まれていない。
なので、$D$は、
集合$C$に$6$を付け加えた 集合であることが分かる。

解答セ:3

次は、$D\cap B$と$\overline{A}\cap B$の関係だ。

$D\cap B$と$\overline{A}\cap B$は両方とも集合$B$との共通部分なので、
$D\cap B\subset\overline{A}\cap B$
$B$を全体集合と考えて、$D\subset\overline{A}$ と言いかえられる。

集合$B$と$C$,$\overline{A}$は、表Eのような関係だ。

表E
$U$$0$$1$$2$$3$$4$$5$$6$$7$$8$$9$
$B$
$C$
$\overline{A}$

集合$B$を全体集合と考えるので、$B$に含まれないグレーの部分は無視する。

いま
$D\subset\overline{A}$
なので、$D$の要素はすべて$\overline{A}$に含まれる。

表Eを見ると、$C$の要素のうち$7$が$\overline{A}$に含まれていない。
なので、$D$は
集合$C$から$7$を取り除いた 集合であることが分かる。

解答ソ:8

(2)

アドバイス

必要条件・十分条件の問題は、一般的には
$p\Rightarrow q \quad$×
$p\Leftarrow q\quad$○
なので、必要条件

みたいに解くことが多いけど、○×の判定で混乱したり間違えたりすることが多い。なので、図や表で表せるときは、集合の大小で考える方がおすすめ。

必要条件・十分条件と集合

図F
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第1問[2] 復習図F

図Fで、
$p$は$q$の必要条件 $q$は$p$の十分条件 である。
つまり、片方の集合がもう片方に含まれるとき、
大きい集合は小さい集合の必要条件 小さい集合は大きい集合の十分条件 である。

大は小の必要条件・小は大の十分条件。」
呪文のように憶えておこう。

また、

図G
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第1問[2] 復習図G

図Gのように ふたつの集合が等しい場合は、必要十分条件

図Hのように、片方がもう片方を含むような関係でない場合には、必要条件でも十分条件でもない

図H
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第1問[2] 復習図H 大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第1問[2] 復習図H

ことになる。

とはいうものの、は図を描くのが難しい。時間もかかるし。

なので、に関しては図を描かない方がおすすめかも。図を描く方法は別解を見てほしい。

以下、$x \gt 0$,$y \gt 0$のときを考える。

$x+y \lt 1$
を変形すると
$y \lt -x+1$
なので、この集合は図Iの緑の部分(境界線を含まない)。

$x \lt 1$かつ$y \lt 1$の集合は、図Iの赤で囲んだ部分(境界線を含まない)。

図I
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第1問[2] 解説図I

図Iを見ると、二つの集合はアドバイスの図Fのように一方がもう一方を含む関係で、緑が小さい集合だ。
よって、
「$x+y \lt 1$」は 「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」であるための
十分条件であるが、必要条件ではない ことが分かる。

解答タ:1


$(x+y)xy \lt 2$
に、例えば
$\left\{\begin{array}{l}
x=2\\
y=\dfrac{1}{4}
\end{array}\right.$式A
を代入すると
$\left(2+\dfrac{1}{4}\right)\cdot 2\cdot\dfrac{1}{4}=\dfrac{9}{8} \lt 2$
となって、成り立つ。

式Aは「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」に含まれないから、これが反例となって
「$(x+y)xy \lt 2$」$\Rightarrow$「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」は偽

$x \lt 1$と$y \lt 1$を辺々たすと、
$x+y \lt 2$式B
とかける。

詳しく これは
$x \lt 1$の両辺に$y$をたして、 $x+y \lt y+1$式C
$y \lt 1$の両辺に$1$をたして、 $y+1 \lt 2$式D
式Cと式Dをあわせて、 $x+y \lt y+1 \lt 2$
より
$x+y \lt 2$
としても計算できる。

$x \gt 0$,$y \gt 0$なので、式Bと$x \lt 1$,$y \lt 1$を辺々かけると、
$(x+y)xy \lt 2$
となる。

詳しく これは
$xy \gt 0$なので、式Bの両辺に$xy$をかけて、 $(x+y)xy \lt 2xy$式E
$y \gt 0$なので、$x \lt 1$の両辺に$y$をかけて、 $xy \lt y$
より
$2xy \lt 2y$式F
$y \lt 1$の両辺に$2$をかけて、 $2y \lt 2$式G
式E,式F,式Gをあわせて、 $(x+y)xy \lt 2xy \lt 2y \lt 2$
なので
$(x+y)xy \lt 2$
としても計算できる。

よって、
「$(x+y)xy \lt 2$」$\Leftarrow$「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」は真

以上より、
「$(x+y)xy \lt 2$」 $\left\{\begin{array}{l} \Rightarrow\times\\ \text{○}\Leftarrow \end{array}\right\}$ 「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」 なので、「$(x+y)xy \lt 2$」は 「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」であるための
必要条件であるが、十分条件ではない ことになる。

解答チ:0

別解

図(グラフ)を描いて解くと、次のようになる。

$(x+y)xy \lt 2$式H
の集合はぱっと図にできない。
なので、中学生がグラフを描くような方法をやってみる。
つまり、点をとる。

$(x+y)xy=2$のグラフを考えると、

$x=1$のとき、

途中式 $(1+y)\cdot 1\cdot y=2$
$y^{2}+y-2=0$
$(y-1)(y+2)=0$
$y=1$,$-2$
だけど、$y\leqq 0$は不適なので
$y=1$

$x=2$のとき、

途中式 $(2+y)\cdot 2\cdot y=2$
$(2+y)y=1$
$y^{2}+2y-1=0$
$y=\dfrac{-2\pm\sqrt{2^{2}-4\cdot 1\cdot(-1)}}{2\cdot 1}$
$\phantom{ y } =-1\pm\sqrt{2}$
だけど、$y\leqq 0$は不適なので
$y=-1+\sqrt{2}$
$\phantom{ y } \doteqdot 0.414$

$(x+y)xy=2$の$x$と$y$を入れかえても同じ式になるから
グラフは$y=x$に関して対称 なので、
$x=-1+\sqrt{2}$ のとき $y=2$

以上より、$(x+y)xy=2$のグラフは図Jの緑の線。

式Hに、例えば$x=\dfrac{1}{2}$,$y=\dfrac{1}{2}$を代入すると成り立つので、式Hの集合は 緑の線から見て$\left(\dfrac{1}{2},\ \dfrac{1}{2}\right)$(図Jの青い点)がある側、つまり左下である。

よって、式Hの集合は図Jの緑の部分(境界線を含まない)。

$x \lt 1$かつ$y \lt 1$は、図Jの赤で囲んだ部分(境界線を含まない)。

図J
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第1問[2] 解説図J

図Jを見ると、二つの集合はアドバイスの図Fのように一方がもう一方を含む関係で、緑が大きい集合だ。
よって、
「$(x+y)xy \lt 2$」は 「$x \lt 1$かつ$y \lt 1$」であるための
必要条件であるが、十分条件ではない ことが分かる。

解答チ:0