大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説

(1)

まず、$\log_{10}285$,$\log_{10}368$の値をそれぞれ求める。

$\log_{10}N_{1}=\log_{10}285$

$$ \begin{align} \log_{10}N_{1}&=\log_{10}(2.85\times 10^{2})\\ &=\log_{10}2.85+2\log_{10}10 \end{align} $$ と変形できる。

さらに、問題文から$\log_{10}2.85=0.4548$なので、
$$ \begin{align} \log_{10}N_{1}&=0.4548+2\\ &=2.4548 \end{align} $$ である。

解答ネ:2

これを小数第4位で四捨五入すると$p_{1}$なので、
$p_{1}=2.455$
だ。

同様に、
$$ \begin{align} \log_{10}N_{2}&=\log_{10}368\\ &=\log_{10}(3.68\times 10^{2})\\ &=\log_{10}3.68+2\log_{10}10 \end{align} $$ だけど、常用対数表から$\log_{10}3.68=0.5658$なので、
$$ \begin{align} \log_{10}N_{2} &=0.5658+2\\ &=2.5658 \end{align} $$

これを小数第4位で四捨五入して、
$p_{2}=2.566$
である。

解答ノ:2, ハ:5, ヒ:6, フ:6


さらに、点$\left(x,\ \log_{10}N\right)$が座標平面上の直線
$y=k(x-22)+p_{1}$
上にあるときを考える。

$\left(x,\ \log_{10}N\right)$を①式に代入すると
$\log_{10}N=k(x-22)+p_{1}$式A
と表せる。

$x$と$N$の関係式が出来たけど、これは解答群にない。
なので、ちょっと変形しないといけない。

ここで、指数と対数の関係を復習しておくと、

復習

$0 \lt a$,$a\neq 1$,$0 \lt b$ のとき、
$\log_{a}b=c\ \Leftrightarrow\ a^{c}=b$

だった。

復習より、式Aは
$N=10^{k(x-22)+p_{1}}$式B
となって、解答群にある形になった。

解答ヘ:2

別解

式Aを変形するには、次のような方法もある。

$\log_{10}10=1$
だから、式Aの右辺に$\log_{10}10$をかけても等式は成り立つ。

よって
$$ \begin{align} \log_{10}N&=\{k(x-22)+p_{1}\}\log_{10}10\\ &=\log_{10}10^{k(x-22)+p_{1}} \end{align} $$ とかけるから、
$N=10^{k(x-22)+p_{1}}$式B
である。

解答ヘ:2

(2)

次は、$x=32$のときの、関係式、つまり式Bを満たす$N$の範囲だ。

式Bに含まれる文字のうち、$k$の値がまだ分かってない。
なので、$k$を求めることからはじめよう。

問題文より
$k=\dfrac{p_{2}-p_{1}}{25-22}$
だった。

これに$p_{1}$,$p_{2}$の値を代入すると、$k$の値は
$$ \begin{align} k&=\dfrac{2.566-2.455}{25-22}\\ &=\dfrac{0.111}{3} \end{align} $$ である。

これと$p_{1}$の値と$x=32$を式Bに代入すると

途中式 $$ \begin{align} N&=10^{\tfrac{0.111}{3}\cdot(32-22)+2.455}\\ &=10^{\tfrac{1.11}{3}+2.455}\\ &=10^{0.37+2.455} \end{align} $$ より
$N =10^{2.825}$
となる。

この
$N=10^{2.825}$
の値が含まれる範囲を問われているわけだ。

これはさらに
$$ \begin{align} N&=10^{2+0.825}\\ &=10^{0.825}\times 10^{2} \end{align} $$ $\phantom{ N } =10^{0.825}\times 100$式C
とかけるから、
$10^{0.825}$
の値を求めれば、答えが分かる。


ここで、
$10^{0.825}=A$
とおくと、復習から
$\log_{10}A=0.825$
と表せる。

ここで、常用対数表を見ると
$\log_{10}6.67=0.8241$(四捨五入して$0.824$)
$\log_{10}6.68=0.8248$(四捨五入して$0.825$)
$\log_{10}6.69=0.8254$(四捨五入して$0.825$)
$\log_{10}6.70=0.8261$(四捨五入して$0.826$)
となっているので、
$\log_{10}6.67 \lt \log_{10}A \lt \log_{10}6.70$
であることが分かる。

底の$10$は$1$より大きいので、これはさらに
$6.67 \lt A \lt 6.70$
となり、$A$をもとにもどすと
$6.67 \lt 10^{0.825} \lt 6.70$式D
と変形できる。

これを式Cの形にする。

式Dの3辺を$100$倍すると
$667 \lt 10^{0.825}\times 100 \lt 670$
なので、式Cを代入すると、求める$N$の範囲は
$667 \lt N \lt 670$
であることが分かる。

これにあてはまるのは、解答群の

である。

解答ホ:5