大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 追試 数学Ⅰ 第1問 [2] 解説
(1)
最初に、命題の真偽と集合について復習しておこう。
命題の真偽と集合の復習
命題「[仮定]であれば[結論]である」について、
[仮定]が[結論]に含まれていれば真
[仮定]が[結論]からはみ出していれば偽
である。
これをベン図で説明すると、[仮定]の集合を赤、[結論]の集合を青として、命題が真になるのは図Aのような場合である。
また、命題が偽になるのは図Bのような場合だ。
反例は、[仮定]には含まれるけれど[結論]には含まれない部分にあたる。
なので、図Bの、赤い斜線はあるけど青い斜線はない部分が反例である。
条件$p$,$q$を満たす数の集合は表Cのようになっている。
| $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $7$ | $8$ | $9$ | $10$ | $11$ | $12$ | $13$ | $14$ | $15$ | $16$ | $17$ | $18$ | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $p$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
| $q$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
表Cを見ると、$n=9$ は
$\overline{p}$,$q$ に含まれる
$p$,$\overline{q}$ に含まれない
ことが分かる。
よって、復習より、$n=9$ が反例になる命題は
$\overline{p}$,$q$ が仮定
$p$,$\overline{q}$ が結論
だから、
$\overline{p}\Rightarrow p$
$\overline{p}\Rightarrow\overline{q}$
$q\Rightarrow p$
$q\Rightarrow\overline{q}$
の4つ考えられる。
このうち、グレーのふたつは意味をなさないし、解答群にもない。
よって、解答群のうち正しいのは、残るふたつの
① $q\Rightarrow p$
⑥ $\overline{p}\Rightarrow\overline{q}$
である。
解答ス:1, セ:6
(2)
さらに、必要条件と十分条件の復習をしよう。
必要条件,十分条件の復習
図Dで、
$A$は$B$の必要条件
$B$は$A$の十分条件
である。
つまり、片方の集合がもう片方に含まれるとき、
大きい集合は小さい集合の必要条件
小さい集合は大きい集合の十分条件
である。
「大は小の必要条件,小は大の十分条件」
呪文のように憶えておこう。
図Eのように ふたつの集合が等しい場合は、必要十分条件となる。
また、図Fのように、片方の集合がもう片方を含むような関係でない場合は、必要条件でも十分条件でもない。
表Cに 条件$r$を満たす数の集合を書き加えると、表Gができる。
| $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $7$ | $8$ | $9$ | $10$ | $11$ | $12$ | $13$ | $14$ | $15$ | $16$ | $17$ | $18$ | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $p$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
| $q$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
| $r$ | ○ | ○ | ○ | ○ |
表Gを見ると
$r$の集合は$q$の集合に含まれている
$(r$の集合$)\neq(q$の集合$)$
だ。
よって、復習より、
$r$は、$q$であるための十分条件であるが、必要条件ではない。
解答ソ:1
$(p\cap q)$の集合は、表Gの緑の部分。
なので、$(p\cap q)=r$である。
よって、復習より、
$(p\cap q)$は、$r$であるための必要十分条件である。
解答タ:2
であることが分かる。
別解
上の解のように表を書いて見ながら考えるのがおすすめだけど、次のような考え方もできる。
$6$は$12$と$18$の最大公約数
公約数は最大公約数の約数
である。
よって、条件$p$,$q$,$r$を満たす集合同士の関係は、
$r\subset p$
$r\subset q$式A
$r=(p\cap q)$式B
となっている。
したがって、復習より、
$r$は、$q$であるための十分条件であるが、必要条件ではない。
解答ソ:1
$(p\cap q)$は、$r$であるための必要十分条件である。
解答タ:2
(3)
最初にした「命題の真偽と集合の復習」より、
$p\Rightarrow(q\cup s)$
が真であるためには、
※※
$p$が$(q\cup s)$に含まれていればよい
ことが分かる。
条件$p$,$q$を満たす数の集合をもう一度載せた(表H)。
| $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $7$ | $8$ | $9$ | $10$ | $11$ | $12$ | $13$ | $14$ | $15$ | $16$ | $17$ | $18$ | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $p$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
| $q$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
表Hを見ると、$p$の要素のうち、赤い部分の
$4$と$12$
は$q$に含まれていない。
なので、※※が成り立つためには、
$s$に$4$と$12$が含まれる
必要がある。
よって、自然数$a$は$4$と$12$を倍数にもつ数なので、$a$は$4$と$12$の公約数だ。
したがって、$a$のうち最大のものは、
$4$と$12$の最大公約数$4$
である。
解答チ:4
このとき、条件$p$,$(q\cup s)$を満たす数の集合は表Hの通りだ。
($19$以上の数は省略してある)
| $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $7$ | $8$ | $9$ | $10$ | $11$ | $12$ | $13$ | $14$ | $15$ | $16$ | $17$ | $18$ | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $p$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
| $q\cup s$ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
命題Aの逆は
$(q\cup s)\Rightarrow p$
なので、最初にした「命題の真偽と集合の復習」より、反例$n$は
$q\cup s$に含まれる
$p$に含まれない
数だ。
したがって、表Iより、$n$の最小のものは
$8$
である。
解答ツ:8