大学入学共通テスト 2025年(令和7年) 追試 数学ⅡBC 第2問 解説
(1)
①式を平方完成すると、
$x^{2}-2sx+s^{2}+y^{2}-2ty+t^{2}-t^{2}=0$
$(x-s)^{2}+(y-t)^{2}=t^{2}$
となる。
なので、$C$は、
中心が$(s,t)$
半径が$t$
の円である。
解答ア:3, イ:6, ウ:6
よって、$C$は図Aのような円なので、$s$,$t$の値にかかわらず
$x$軸に接する
ことが分かる。
解答エ:0
(2)
(i)
(1)で考えたように、$s$,$t$の値にかかわらず $C$は$x$軸と接する。
接点の座標は$(s,0)$だ。
この接点は、$-2 \lt s \lt 2$のとき、図Bの赤い線分上にある。
赤い線分は$C_{0}$の内部にあるから、$C$は$C_{0}$の内部で$x$軸と接する。
よって、$C_{0}$と$C$の接し方は内接しかない。
解答オ:1
このとき、$C$と$C_{0}$は、例えば図Cのような位置関係になる。
図Cより
$d+r=r_{0}$
とかけるから、
$d=r_{0}-r$式A
だ。
解答カ:2
いま
$d$は 三平方の定理より
$d=\sqrt{s^{2}+t^{2}}$
$r_{0}$は$C_{0}$の半径なので
$r_{0}=2$
$r$はウで求めた
$r=t$
なので、式Aは
$\sqrt{s^{2}+t^{2}}=2-t$
と表せる。
この式の両辺を二乗して $t$について解くと、
途中式
$s^{2}+t^{2}=4-4t+t^{2}$
$s^{2}=4-4t$
$4t=4-s^{2}$
となる。
解答キ:1
(ii)
次は、軌跡の問題。
軌跡の問題を解くときには鉄則があって、
復習
軌跡を求める点を$(x,y)$とおく
だった。
この問題では、$C$の中心$(s,t)$の軌跡を問われている。
復習にしたがって この点を$(x,y)$とおくと、
$(s,t)=(x,y)$
とかける。
これを式Bに代入すると、$C$の中心の軌跡の式は
$$
\begin{align}
y&=\dfrac{4-x^{2}}{4}\\
&=\dfrac{4}{4}-\dfrac{x^{2}}{4}\\
&=-\dfrac{1}{4}x^{2}+1\class{tex_formula}{式C}
\end{align}
$$
となる。
これは上に凸の放物線の式だ。
クの選択肢のグラフのうち、上に凸の放物線は
②
しかないから、これが答えだ。
解答ク:2
(3)
$-2 \lt k \lt 2$ のとき、方程式が①の円のうち
$\left\{\begin{array}{l}
C_{0}\\
x=k
\end{array}\right.$
の両方に接するものは、図Dのように二つある。
このうち、直線$x=k$(図Dの緑の線)よりも左にある円を$C_{1}$,右にある円を$C_{2}$とする。
$C_{1}$の半径は中心の$y$座標に等しいから、半径が最大になるのは中心の$y$座標が最大になるときだ。
また、$C_{1}$の中心は式Cの放物線(図Dのオレンジの曲線)の上にある。
よって、$y$座標が最大になるのは中心が放物線の頂点$(0,1)$にあるときだ。
以上より、$C_{1}$の半径が最大のとき、グラフは図Eのようになる。
このとき、$C_{1}$の半径は$1$になるから、$y$軸と$x=k$の距離も$1$である。
したがって、
$k=1$
である。
解答ケ:1
最後に、$C_{2}$の中心の座標だ。
$C_{2}$の中心の座標を$(p,q)$とおくと
$C_{2}$の中心は式Cの放物線上にあるから、式Cに$(p,q)$を代入して、
$q=-\dfrac{1}{4}p^{2}+1$式D
$\left[\begin{aligned}& C_{2}\text{の中心と}\\& x\text{軸との距離}\end{aligned}\right]=\left[\begin{aligned}& C_{2}\text{の中心と}\\& x=k\text{との距離}\end{aligned}\right]$
なので、
$$
\begin{align}
q&=p-k\\
&=p-1\class{tex_formula}{式E}
\end{align}
$$
のふたつの式がつくれる。
このふたつの式を連立方程式 $q=-\dfrac{1}{4}p^{2}+1$式D $q=p-1$式E として解く。
式D$=$式Eより、
$-\dfrac{1}{4}p^{2}+1=p-1$
$-p^{2}+4=4p-4$
$p^{2}+4p=8$
解の公式を使ってもいいんだけど、この式は平方完成して欲しそうな顔をしている。
なので、たまには違った方法で解いてみよう。
左辺を平方完成して、
$p^{2}+4p+4=8+4$
$(p+2)^{2}=12$
両辺の平方根をとって、
$$
\begin{align}
p+2&=\pm\sqrt{12}\\
&=\pm 2\sqrt{3}
\end{align}
$$
$p=\pm 2\sqrt{3}-2$式F
ここで、$p$は$C_{2}$の中心の$x$座標だから
$1 \lt p \lt 2$
なので、式Fのうち$-2\sqrt{3}-2$は不適。
$p=2\sqrt{3}-2$
である。
これを式Eに代入すると
$$
\begin{align}
q&=2\sqrt{3}-2-1\\
&=2\sqrt{3}-3
\end{align}
$$
となる。
以上より、このときの$C_{2}$の中心の座標は
$\left(2\sqrt{3}-2,\ 2\sqrt{3}-3\right)$
である。
解答コ:2, サ:3, シ:2, ス:2, セ:3, ソ:3
別解
$C_{2}$は$x$軸と$x=k$の両方に接するので、中心は図Fのピンクの角の二等分線(青い直線)上にある。
ピンクの角は直角だから、青い直線の傾きは$\tan 45^{\circ}=1$
青い直線は$(k,0)$を通るけど、$k=1$だから$(1,0)$を通る
ことから、青い直線の式は
$y=x-1$式G
とかける。
また、$C_{2}$の中心はオレンジの曲線(式Cの放物線)の上にある。
したがって、$C_{2}$の中心は青い直線とオレンジの曲線との交点だ。
よって、式Cと式Gの連立方程式
$y=-\dfrac{1}{4}x^{2}+1$式C
$y=x-1$式G
を解けば、$C_{2}$の中心の座標が分かる。
この連立方程式は、上の解の式Dと式Eの連立方程式の
$p$ が $x$ に
$q$ が $y$ に
変わっただけで、同じ式だ。
なので、これ以降の計算も上の解と文字が違うだけだから、省略する。