大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説

(1)

$\log_{3}9=2$

解答ス:2

は解説の必要はないと思うけど、次のはちょっと面倒。
こういうときは、対数だと大変なので指数で考えよう。

指数と対数の関係を思い出すと、

復習

$0 \lt a$,$0 \lt b$のとき、
$\log_{a}b=c\ \Leftrightarrow\ a^{c}=b$

だった。

復習より、
$\log_{\frac{1}{4}}$$=-\displaystyle \frac{3}{2}$

$\displaystyle \left(\frac{1}{4}\right)^{-\frac{3}{2}}=$
とかける。

これを計算して、
$\displaystyle =\left\{\left(\frac{1}{4}\right)^{-1}\right\}^{\frac{3}{2}}$
$\hspace{46px} =4^{\frac{3}{2}}$
$\hspace{46px} =2^{3}$
$\hspace{46px} =8$
である。

解答セ:8

(2)

(1)の復習より、問題文中の①式は
$a^{t}=b$①'
と変形できる。

解答ソ:1

両辺の$t$乗根をとると、①'は
$\sqrt[t]{a^{t}}=\sqrt[t]{b}$
とかける。

これはさらに
$(a^{t})^{\frac{1}{t}}=b^{\frac{1}{t}}$
$a=b^{\frac{1}{t}}$①''
と変形できる。

解答タ:1

(1)の復習より、①''は
$\displaystyle \log_{b}a=\frac{1}{t}$
とかけるから、問題文中の②式が確かめられる。

(3)

④の不等式に(2)の①②式を代入すると
$t \gt \displaystyle \frac{1}{t}$
となって、③の不等式ができる。
つまり、③と④の不等式は同じ式だ。

問題文から、③の不等式の解は
$-1 \lt t \lt 0$,$1 \lt t$式A
であることが分かっている。
なので、これがの答えなんだけど、選択肢は$a$と$b$の式だ。
なので、式Aを$a$,$b$の式に変えよう。


式Aに①式を代入して、
$-1 \lt \log_{a}b \lt 0$,$1 \lt \log_{a}b$式A'
とする。

$\log$と$\log$じゃない辺が入り交じった式ができた。
このままじゃどうにもならないので、全部の辺を対数にしよう。
具体的には、
$\log_{a}a$をかける。 $\log_{a}a=1$なので、かけても辺の値は変わらない。

式A'の対数以外の辺に$\log_{a}a$をかけると
$-1\times\log_{a}a \lt \log_{a}b \lt 0\times\log_{a}a$,
                                $1\times\log_{a}a \lt \log_{a}b$
$\log_{a}a^{-1} \lt \log_{a}b \lt \log_{a}a^{0}$,$\log_{a}a \lt \log_{a}b$
$\displaystyle \log_{a}\frac{1}{a} \lt \log_{a}b \lt \log_{a}1$,$\log_{a}a \lt \log_{a}b$
                                     式A''
と表せる。


$a \gt 1$のとき、式A''より
$\displaystyle \frac{1}{a} \lt b \lt 1$,$a \lt b$
である。

解答チ:3

また、$0 \lt a \lt 1$のとき、式A''より
$\displaystyle \frac{1}{a} \gt b \gt 1$,$a \gt b$
とかける。

これに、$b$の定義域の$b \gt 0$とあわせて
$0 \lt b \lt a$,$1 \lt b \lt \displaystyle \frac{1}{a}$
である。

解答ツ:0


以上を数直線に描くと、図Aができる。

図A
$a \gt 1$のとき
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図A
$0 \lt a \lt 1$のとき
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図A

$a$は定数扱いだ。

より、図A中の
緑の実線の範囲に$b$があるとき、
$\log_{a}b \gt \log_{b}a$
緑の点線の範囲に$b$があるとき、
$\log_{a}b \lt \log_{b}a$
である。

ただし、$b \gt 0$ かつ $b \neq 0$ である。
また、$b=a$や$b=\displaystyle \frac{1}{a}$の場合は考えないことにする。

(4)

今度は、
$\log_{p}q$と$\log_{q}p$ $\log_{p}r$と$\log_{r}p$ の大小を比べる。
使うのは、(3)でつくった図Aだ。


まず、$\log_{p}q$と$\log_{q}p$から。

$\log_{p}q$と$\log_{q}p$に合うように
$a$を$p=\displaystyle \frac{12}{13}$に $b$を$q$に 変えて、図Aを描きなおして図Bをつくる。

いま、$a$にあたる$p$は
$0 \lt p \lt 1$
なので、図Aの下側の数直線を使う。

図B
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図B

図Bに$q$を書き込むと、$q=\displaystyle \frac{12}{11}$なのでの位置だ。

詳しく $\displaystyle \frac{13}{12}=1+\frac{1}{12}$
$\displaystyle \frac{12}{11}=1+\frac{1}{11}$
で、
$\displaystyle \frac{1}{12} \lt \frac{1}{11}$
なので、
$\displaystyle \frac{13}{12} \lt \frac{12}{11}$
となるから、
$\displaystyle \frac{12}{11}$は数直線上で$\displaystyle \frac{13}{12}$よりも右にある。
緑の点線の範囲に$q$があるので、
$\log_{p}q \lt \log_{q}p$ である。


それから、$\log_{p}r$と$\log_{r}p$。

さっきと同じように、$\log_{p}r$と$\log_{r}p$に合うように
$a$を$p=\displaystyle \frac{12}{13}$に $b$を$r$に 変えて、図Aを描きなおして図Cをつくる。

今度も、$a$にあたる$p$は
$0 \lt p \lt 1$
なので、図Aの下側の数直線を使う。

図C
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第1問[2] 解説図C

図Cに$r$を書き込むと、$r=\displaystyle \frac{14}{13}$なのでの位置だ。

詳しく $\displaystyle \frac{14}{13}=1+\frac{1}{13}$
$\displaystyle \frac{13}{12}=1+\frac{1}{12}$
で、
$\displaystyle 0 \lt \frac{1}{13} \lt \frac{1}{12}$
なので、
$\displaystyle 1 \lt \frac{14}{13} \lt \frac{13}{12}$
となるから、
$\displaystyle \frac{14}{13}$は数直線上で$1$と$\displaystyle \frac{13}{12}$の間にある。
緑の実線の範囲に$r$があるので、
$\log_{p}r \gt \log_{r}p$ である。


以上より、選択肢のうち正しいのは

であることが分かる。

解答テ:2