大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説

サシス

まず、$C_{1}$と$C_{2}$の交点から。

$C_{1}$の式と$C_{2}$の式の連立方程式
$\left\{\begin{array}{l} y=x^{3}-3bx+3b^{2}\\ y=x^{3}-x^{2}+b^{2} \end{array}\right.$
から、方程式
$x^{3}-3bx+3b^{2}=x^{3}-x^{2}+b^{2}$
ができる。

これを解くと、
$x^{2}-3bx+2b^{2}=0$
$(x-b)(x-2b)=0$
より
$x=b$,$2b$
となる。

この2解が$\alpha$,$\beta$なんだけど、問題文より
$\left\{\begin{array}{l} \alpha \lt \beta\\ 0 \lt b \end{array}\right.$
だから、
$\alpha=b$,$\beta=2b$
である。

解答サ:b, シ:2, ス:b

セソタ

先に進む前に、グラフを描こう。

いま、ふたつのグラフと$y$軸との交点を考えると、
$g(0)=3b^{2}$
$h(0)=b^{2}$
なので
$h(0) \lt g(0)$
である。

よって、ふたつの曲線の位置関係は
$x=0$($y$軸上)では、
$\hspace{20px} C_1 : y=g(x)$が上、$C_2 : y=h(x)$が下
にある。

また、$C_{1}$と$C_{2}$は$x=\alpha$,$\beta$の2点で交わる。
接するんじゃなくて交わるので、
$\alpha$と$\beta$を境に ふたつの直線の上下は入れ替わる ことになる。

さらに、交点の位置関係は
$ 0 \lt \alpha \lt \beta$ だ。

よって、ふたつの曲線の位置関係は

$x$$\cdots$$0$$\cdots$$\alpha$$\cdots$$\beta$$\cdots$
位置
関係
$C_1$$C_2$$C_1$
$C_2$$C_1$$C_2$

であることが分かる。

以上から $C_{1}$と$C_{2}$のグラフを描くと、だいたい図Aのようなイメージになる。

図A
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第2問[2] 解説図A

図A中の赤い部分の面積を$S$,緑の部分の面積を$T$とする。

図Aより、$S$,$T$は
$S=\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}\{h(x)-g(x)\}dx$
$T=\displaystyle \int_{\beta}^{t}\{g(x)-h(x)\}dx$
とかける。

解答セ:2, ソ:1

よって、$S-T$は、
$S-T=\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}\{h(x)-g(x)\}dx$
$\hspace{100px} \displaystyle -\int_{\beta}^{t}\{g(x)-h(x)\}dx$
$\phantom{S-T} =\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta}\{h(x)-g(x)\}dx$
$\hspace{100px} \displaystyle +\int_{\beta}^{t}\{h(x)-g(x)\}dx$
より
$S-T=\displaystyle \int_{\alpha}^{t}\{h(x)-g(x)\}dx$式A
とかける。

解答タ:2

チ~ノ

あとは、計算だ。

式Aに$g(x)$,$h(x)$の式とを代入して、
$S-T=\displaystyle \int_{b}^{t}\{(x^{3}-x^{2}+b^{2})$
$\hspace{100px} -(x^{3}-3bx+3b^{2})\}dx$式A'

これを計算して、

途中式 $S-T=\displaystyle \int_{b}^{t}(-x^{2}+3bx-2b^{2})dx$
$\phantom{ S-T } \displaystyle =\left[-\frac{1}{3}x^{3}+\frac{3b}{2}x^{2}-2b^{2}x\right]_{b}^{t}$
$\phantom{ S-T } \displaystyle =\left[-\frac{2}{6}x^{3}+\frac{9b}{6}x^{2}-\frac{12b^{2}}{6}x\right]_{b}^{t}$
$\phantom{ S-T } \displaystyle =\frac{1}{6}\left[-2x^{3}+9bx^{2}-12b^{2}x\right]_{b}^{t}$
$\phantom{ S-T } \displaystyle =\frac{1}{6}\{(-2t^{3}+9bt^{2}-12b^{2}t)$
$\hspace{100px} -(-2b^{3}+9b\cdot b^{2}-12b^{2}\cdot b)\}$
$\phantom{ S-T } \displaystyle =\frac{1}{6}(-2t^{3}+9bt^{2}-12b^{2}t+2b^{3}-9b^{3}+12b^{3})$
$\phantom{ S-T } \displaystyle =\frac{1}{6}(-2t^{3}+9bt^{2}-12b^{2}t+5b^{3})$
より
$S-T=-\displaystyle \frac{1}{6}(2t^{3}-9bt^{2}+12b^{2}t-5b^{3})$
である。

解答チ:-, ツ:1, テ:6, ト:9, ナ:1, ニ:2, ヌ:5


よって、$S-T=0$となるのは、
$-\displaystyle \frac{1}{6}(2t^{3}-9bt^{2}+12b^{2}t-5b^{3})=0$
より
$2t^{3}-9bt^{2}+12b^{2}t-5b^{3}=0$式B
のとき。

これを$t$について解くんだけど、3次式で、ぱっと因数分解できる形じゃない。
なので、解をひとつ見つけて式の割り算をして、2次方程式にしよう。

式A'を見ると、
$t=b$
のときに$S-T=0$になるのは明らか。

詳しく $t=b$の場合、式A'は積分の上端と下端が等しくなる。
積分の上端と下端が等しい場合、
$\displaystyle \int_{a}^{a} f(x)dx = 0$
なので、このとき、式A'の値は$0$、つまり
$S-T=0$
である。
よって、式Bの解のひとつは
$t=b$
だから、式Bは
$t-b$
で割り切れる。

ということで、式Bを$t-b$で割る。
組立除法をすると

$2$$-9b$$12b^{2}$$-5b^{3}$$b$
$2b$$-7b^{2}$$5b^{3}$
$2$$-7b$$5b^{2}$$0$
組立除法をしないとき
$2t^{2}$$-7bt$$+5b^{2}$
$t-b$$)$$2t^{3}$$-9bt^{2}$$+12b^{2}t$$-5b^{3}$
$2t^{3}$$-2bt^{2}$
$-7bt^{2}$
$-7bt^{2}$$+7b^{2}t$
$5b^{2}t$
$5b^{2}t$$-5b^{3}$
$0$

なので、式Bは
$(t-b)(\textcolor{red}{2t^{2}-7bt+5b^{2} })=0$式B'
と因数分解できる。

式B'の赤い部分は

$t$$-b$$-2bt$
$2t$$-5b$$-5bt$
$-7bt$

とたすきがけできるので、
$2t^{2}-7bt+5b^{2}=(t-b)(2t-5b)$
と因数分解できる。

よって、式B'は
$(t-b)^{2}(2t-5b)=0$
とかけるから、方程式の解は
$t=b$,$\displaystyle \frac{5}{2}b$式C
となる。

ここで、問題文より $\beta \lt t$、つまり$2b \lt t$で、$0 \lt b$なので、式Cのうち$t=b$は不適。
正解は
$t=\displaystyle \frac{5}{2}b$
である。

解答ネ:5, ノ:2