大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学Ⅱ 第3問 解説
(1)
$\cos$の2倍角の公式を思い出すと
公式
$$ \begin{align} \cos 2\theta&=\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta\\ &=1-2\sin^{2}\theta\\ &=2\cos^{2}\theta-1 \class{tex_formula}{式A} \end{align} $$
の3つあったけど、今回は$\cos 2\theta$を$t$、つまり$\cos\theta$で表すので、使うのは式Aだ。
式Aに
$ t=\cos\theta$式B
を代入すると
$\cos2\theta=2t^{2}-1$式C
となる。
解答ア:2, イ:1
式B,式Cを①に代入すると、
$4(2t^{2}-1)+2t+3=0$
より、方程式
$8t^{2}+2t-1=0$①'
ができる。
解答ウ:8, エ:2
この式を因数分解すると
$(2t+1)(4t-1)=0$
となるから、①'の方程式の解は
$t=-\dfrac{1}{2}$,$\dfrac{1}{4}$
である。
解答オ:-, カ:1, キ:2
(2)
以下では、
$\left\{\begin{array}{l}
\cos\alpha=-\dfrac{1}{2}\qquad (0\leqq\alpha\leqq\pi)\\
\cos\beta=\dfrac{1}{4}\qquad (0\leqq\beta\leqq\pi)
\end{array}\right.$
であるような$\alpha$,$\beta$を考える。
単位円で考えると、$\alpha$,$\beta$は図Aのように表せる。
図Aより
$\alpha=\dfrac{2}{3}\pi$
であることが分かる。
解答ク:2, ケ:3
また、
$\left\{\begin{array}{l}
\cos\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\
\cos\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\\
\cos\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{1}{2}
\end{array}\right.$
だ。
解答コ:3, サ:5, シ:7
これを図Aに書き込むと、図Bができる。
図Bより、$\beta$は
$\dfrac{\pi}{3} \lt \beta \lt \dfrac{\pi}{2}$式D
であることが分かる。
解答ス:3
アドバイス
ここでは誤解のないように図で説明した。
一方で、共通テストは時間との戦いでもあるから 手間のかかる図は描きたくない。
$ 0\leqq\theta\leqq\pi$の範囲では
$\cos\theta_{1} \gt \cos\theta_{2}\ \Leftrightarrow\ \theta_{1} \lt \theta_{2}$
である。
これがちゃんと理解できていれば、図Bを考える必要はなくて
$\dfrac{1}{2} \gt \dfrac{1}{4} \gt 0$
なので
$\dfrac{\pi}{3} \lt \beta \lt \dfrac{\pi}{2}$式D
である
と考えてOKだ。
(3)
いま、
$\cos\beta=\dfrac{1}{4}$
だけど、これを2倍角の公式(式A)に代入すると、
$\cos 2\beta=2\left(\dfrac{1}{4}\right)^{2}-1$
より
$\cos 2\beta=-\dfrac{7}{8}$
となる。
解答セ:-, ソ:7, タ:8
これをもう一度2倍角の公式(式A)に代入すると
$\cos 2(2\beta)=2\left(-\dfrac{7}{8}\right)^{2}-1$
とかける。
これを計算して、
$$
\begin{align}
\cos 4\beta&=\dfrac{49}{32}-1\\
&=\dfrac{17}{32}
\end{align}
$$
である。
解答チ:1, ツ:7, テ:3, ト:2
ここで、式Dの3辺を$4$倍すると
$\dfrac{4}{3}\pi \lt 4\beta \lt 2\pi$式D'
となるけど、これを図で表すと図Cの緑の範囲だ。
また、チツテトより$\cos 4\beta$は正の値であることが分かっている。
$\cos$が正なのは図Cのオレンジの範囲。
よって、$ 4\beta$は緑とオレンジの重なる部分に存在するので、第4象限の角だ。
解答ナ:4
この$ 4\beta$についてスを求めたときと同様に考える。
$\cos 4\beta=\dfrac{17}{32}$
で
$\dfrac{1}{2} \lt \dfrac{17}{32} \lt \dfrac{\sqrt{2}}{2}$
なので、$ 4\beta$は図Dのような角であることが分かる。
図Dの緑の範囲は、ナで求めた$ 4\beta$の存在範囲だ。
なので、$ 4\beta$はこの範囲にあるものとして考える。
図Dのように、第4象限にあって
$\cos$が$\dfrac{1}{2}$の角を$\mathrm{A}$
$\cos$が$\dfrac{\sqrt{2}}{2}$の角を$\mathrm{B}$
とすると、$ 4\beta$は
$\mathrm{A} \lt 4\beta \lt \mathrm{B}$式E
であることが分かる。
ここで、
$\mathrm{A}=2\pi-\dfrac{\pi}{3}$
なので、
$$
\begin{align}
\mathrm{A}&=\dfrac{6-1}{3}\pi\\
&=\dfrac{5}{3}\pi
\end{align}
$$
$\mathrm{B}=2\pi-\dfrac{\pi}{4}$
なので、
$$
\begin{align}
\mathrm{B}&=\dfrac{8-1}{4}\pi\\
&=\dfrac{7}{4}\pi
\end{align}
$$
である。
よって、式Eは
$\dfrac{5}{3}\pi \lt 4\beta \lt \dfrac{7}{4}\pi$
とかける。
この式の3辺を$4$で割って、$\beta$の存在範囲は
$\dfrac{5}{12}\pi \lt \beta \lt \dfrac{7}{16}\pi$式F
である。
解答ニ:8
アドバイス
上の解を見て、「あれ?式Dは?」って思う人がいるかも知れない。
確かに$\beta$の存在範囲は式Dと式Fの共通部分だ。
式Fを求めた作業を振り返ってみる。
式Dを式D'に変形して、図Cの緑の範囲をつくった。
これとオレンジの範囲の重なる部分を求めて、図Dの緑の範囲とした。
この緑の範囲の中で、式Fをつくった。
つまり、式Fは式Dの範囲に含まれる。
なので、式Fを求めた後に もう一度 式Dとの共通部分を考える必要はない。