大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学Ⅱ 第4問 解説
(1)
$Q(x)=0$に解の公式を使って、このときの$x$は
$x=\dfrac{-(-1)\pm\sqrt{(-1)^{2}-4\cdot 1\cdot 2}}{2\cdot 1}$
とかける。
これを計算して、
$$
\begin{align}
x&=\dfrac{1\pm\sqrt{-7}}{2}\\
&=\dfrac{1\pm\sqrt{7}i}{2} \class{tex_formula}{式A}
\end{align}
$$
である。
解答ア:1, イ:7, ウ:2
(2)
$P(x)$を$Q(x)$で割ると
| $\textcolor{green}{x^{2}}$ | $\textcolor{green}{+mx}$ | $\textcolor{green}{+(m+3)}$ | ||||
| $x^{2}-x+2$ | $)$ | $x^{4}$ | $+(m-1)x^{3}$ | $+5x^{2}$ | $+(m-3)x$ | $+n$ |
| $x^{4}$ | $-x^{3}$ | $+2x^{2}$ | ||||
| $mx^{3}$ | $+3x^{2}$ | |||||
| $mx^{3}$ | $-mx^{2}$ | $+2mx$ | ||||
| $(m+3)x^{2}$ | $-(m+3)x$ | |||||
| $(m+3)x^{2}$ | $-(m+3)x$ | $+2(m+3)$ | ||||
| $\textcolor{red}{n-2(m+3)}$ | ||||||
となる。
$P(x)$は$Q(x)$で割り切れるから、余りは$0$だ。
なので、上の筆算の赤い部分は
$n-2(m+3)=0$
である。
よって、
$$
\begin{align}
n&=2(m+3)\\
&=2m+6
\end{align}
$$
と表せる。
解答エ:2, オ:6
また、$R(x)$は筆算の緑の部分なので
$$
\begin{align}
R(x)&=x^{2}+mx+(m+3)\\
&=x^{2}+mx+m+3
\end{align}
$$
である。
解答カ:3
(3)
方程式
$R(x)=0$
つまり
$x^{2}+mx+(m+3)=0$式B
が異なる2つの虚数解をもつときを考える。
$R(x)$の判別式を$D$とすると、
$$
\begin{align}
D&=m^{2}-4\cdot 1\cdot(m+3)\\
&=m^{2}-4m-12\\
&=(m+2)(m-6) \class{tex_formula}{式C}
\end{align}
$$
である。
$R(x)=0$は2つの異なる虚数解をもつので、
$D \lt 0$
つまり
$(m+2)(m-6) \lt 0$
だから、このときの$m$の範囲は
$-2 \lt m \lt 6$式D
となる。
解答キ:-, ク:2, ケ:6
また、$R(x)=0$のふたつの解を$\alpha$,$\beta$とするとき、
解と係数の関係より
$\left\{\begin{array}{l}
\alpha+\beta=-m\\
\alpha\beta=m+3
\end{array}\right.$
とかける。
解答コ:-, サ:3
これを
$\alpha\beta(\alpha+\beta)=-10$
に代入すると
$(m+3)(-m)=-10$
$m(m+3)-10=0$
となって、$m$についての方程式
$m^{2}+3m-10=0$
ができる。
これを解くと
$(m+5)(m-2)=0$
より
$m=-5$,$2$
となる。
このうち、$m=-5$は式Dの範囲に当てはまらないので不適。
求める$m$は
$m=2$
である。
解答シ:2
これを式Bに代入すると、このときの方程式$R(x)=0$は
$x^{2}+2x+(2+3)=0$
より
$x^{2}+2x+5=0$
であることが分かる。
この方程式の解は、解の公式より
$$
\begin{align}
x&=\dfrac{-2\pm\sqrt{2^{2}-4\cdot 1\cdot 5}}{2\cdot 1}\\
&=\dfrac{-2\pm\sqrt{2^{2}(1-5)}}{2}\\
&=-1\pm 2i
\end{align}
$$
となる。
解答ス:-, セ:1, ソ:2
(4)
これまでの作業をまとめておこう。
$P(x)$は$Q(x)$で割り切れ、商は$R(x)$だから、
$P(x)=Q(x)\cdot R(x)$
とかける。
なので、$Q(x)=0$の解と$R(x)=0$の解を求めれば、それが$P(x)=0$の解だ。
方程式
$Q(x)=0$
つまり
$x^{2}-x+2=0$
の解は2つの異なる虚数解で、
$x=\dfrac{1\pm\sqrt{7}i}{2}$式A
である。
方程式
$R(x)=0$
つまり
$x^{2}+mx+(m+3)=0$
の判別式$D$は
$D=(m+2)(m-6)$式C
である。
この3つを材料にして(4)を解くんだけど、その前にひとつ確認しておこう。
復習
係数が実数である$n$次方程式$f(x)=0$があって、解のひとつが
$a+bi$
であるとき、これと共役な複素数
$a-bi$
も$f(x)=0$の解である。
復習より、
式Aの2つの値の一方が$R(x)=0$の解であれば、もう一方も$R(x)=0$の解である。
言いかえると、
$Q(x)=0$と$R(x)=0$が共通解をもつとき、$R(x)=0$の解も式Aである。
したがって、このとき
$R(x)=Q(x)$
となるから、
$x^{2}+mx+(m+3)=x^{2}-x+2$
とかける。
よって、このとき、
$m=-1$式E
である。
ここまで来れば勝ったも同然だ。
残りのタ~ニを片付けてしまおう。
$P(x)=0$の異なる解が3個のとき
$Q(x)=0$が異なる2つの虚数解をもつので、$R(x)=0$は重解を持つはず。
これは $R(x)$の判別式$D$が$0$のときなので、式Cより
$(m+2)(m-6)=0$
$m=-2$,$6$
のとき。
解答タ:-, チ:2, ツ:6
3つの解に含まれる虚数解は、式Aの2個。
解答テ:2
$P(x)=0$の異なる解が2個のとき
これは、$Q(x)=0$の解が両方とも$R(x)=0$との共通解であるとき。
上で考えたように、このときの$m$の値は、式Eの
$m=-1$
である。
解答ト:-, ナ:1
上記以外のとき、$P(x)=0$の異なる解は4個ある。
さらに
$m \lt -2$,$6 \lt m$
のとき、$R(x)$の判別式$D$(式C)は
$D \gt 0$
になる。
よって、$P(x)=0$の4つの解は
$Q(x)=0$の解から、式Aの虚数解2個
$R(x)=0$の解から、異なる2個の実数解
なので、虚数解は2個だ。
解答ニ:2